ごきげんよう。パパベイビーです。
パパベイビーは就職活動中、臨床開発モニターってどんな仕事をしているのか、全くイメージができませんでした。
「新薬開発(臨床開発)は、新薬となる候補の薬を人に投与し、データを集める、そのデータに問題がないかを確認するために、CRAは医療機関で直接閲覧(SDV)をする」
「医療機関と関わる仕事で、ドラッグラグをなくすために円滑に治験を進める必要があり、そのためにはコミュニケーション力が大切」
といったような内容が頭の中にぼんやりとあっただけです。
今回は、臨床開発モニター(CRA)の仕事内容がイメージできていない方向けに、その仕事内容について、解説していきます。
治験開始から終了までのフェーズは、大きく分けて4つ存在する

以前の記事でも紹介していますが、CRAのメインのお仕事としては「医療機関で治験が「ルール」に沿って実施されているかを第三者的にモニタリング(監視)する仕事」です。
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参考: 治験を実施するためのルール (引用:厚生労働省)
治験を行う製薬会社、病院、医師は「薬事法」というくすり全般に関する法律と、これに基づいて国が定めた「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(=GCP[Good Clinical Practiceの略])という規則を守らなければなりません。この規則は欧米諸国をはじめ国際的に認められています。
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ただ、医療機関が「治験ができる状況にすること」や「治験を終了する」ということについても、CRAの業務範囲となるため、業務内容としては多岐にわたります。
大きく分けると、以下の4つのフェーズに分類されます。
- 治験選定訪問(=医療機関の選定:Site Selection Visit)
- 治験開始訪問(=医療機関の治験立ち上げ業務:Site Initiation Visit)
- 治験モニタリング訪問(=治験のモニタリング業務:Site Monitoring Visit)
- 治験終了訪問(=医療機関の治験Close業務:Close out Visit)
それぞれのフェーズの業務内容等にも、GCPで基準が定められており、そのルールにしたがって、CRAや医療機関の治験スタッフ(医師、看護師、薬剤師等)は業務を進めて行くことになります。
それぞれのフェーズでのCRAの業務内容については、以下で具体的に解説していきます。
治験選定訪問(=医療機関の選定:Site Selection Visit)
その名の通り、新薬開発に関わる治験の実施施設を選定する業務です。
CRAとしては、GCPの基準に従い、実施する治験の内容に応じて、医療機関や治験責任医師の選定調査を行います。実際に医療機関に訪問して調査することがほとんどですが、電話等で調査することも稀にあります。
抗がん剤の試験なら、大学病院やがんセンターを選定することが多く、糖尿病薬などなら、主にクリニックなどを調査します。
無事に選定調査が完了すると、正式に治験に参加する施設として認められるという流れです。
治験開始訪問(=医療機関の治験立ち上げ業務:Site Initiation Visit)
選定が完了した医療機関に対し、医療機関の各部署と連携を取り、治験の立ち上げ業務を行います。
(CROの場合、治験依頼者(製薬企業)とも連携を取りつつ、立ち上げ業務は進めることになります)
立ち上げ業務も多岐にわたりますが、代表的なものとしては、以下のような業務があります。
- 治験関連文書の作成、治験審査委員会(IRB)への提出
- 医療機関の各部署スタッフ、治験依頼者との調整、協議
- 治験関連資材(治験薬など)の搬入
率直に言うと、このフェーズが一番大変です。
なぜなら、、
- 医療機関の治験スタッフと連携を取りながら進める必要があるため、交渉ごとが多い
- 治験開始までのタイムラインが厳密に定められており、IRBの提出期限を遵守する必要がある
- 治験資材が届かなかったり、システムアカウントが発行されなかったりといった、イレギュラー事項が、必ずと言っていいほど発生する
要は、治験依頼者としては、早く治験をスタートさせて、早く承認申請したい一方、医師は治療薬がないような患者さんに早く投与してあげたい。といったような思惑が働くため、いろいろなプレッシャーと戦いながら、コミュニケーションを取りつつ、業務を遂行することが、このフェーズのCRAの業務になります。
必要書類の提出、各部署との調整、各種資材搬入が完了し、治験がスタートできるような状態になったら、このフェーズの業務は完了となります。
治験モニタリング訪問(=治験のモニタリング業務:Site Monitoring Visit)
医療機関の立ち上げが完了した後は、CRAのメインのお仕事である「モニタリング」業務の開始です。
定期的に医療機関へCRAが訪問し、GCPに従って治験が行われているかどうかをモニタリングします。
(ここでは割愛しますが、CRAが訪問せずに、電話やネット環境を使用して行うモニタリング方法もあります)
治験薬は世に出ていない薬のため、患者さんに不利益が被っていないか、安全性は問題ないかというところを重点的に確認します。
定期的にモニタリングを行っていくと、次第に治験のデータが集積されていきます。このデータを解析後、有効性があることが証明された場合、治験依頼者は承認申請を行って、問題がなければ、国の承認を得ることができます。
治験終了訪問(=医療機関の治験Close業務:Close out Visit)
データの解析が完了すると、治験終了の手続きに入ることになります。
治験審査委員会(IRB)への提出書類作成や報告、文書保管依頼、監査対応の可能性についてなど、医療機関スタッフとの最後の調整を行い、終了手続きを完了させます。
臨床開発モニター(CRA)は一言で言うと「なんでも屋」です

以上、CRAの仕事内容について解説してきました。
CRAの業務内容は多岐にわたりますので、一言で言うと「なんでも屋」です。
また、医療機関を相手にする仕事でもあるので、高度な知識が求められるのも事実ですが、やりがいがある仕事だと思います。
臨床開発モニターの仕事内容がイメージできていない方の参考になれば幸いです。
ほな、またねー。
以下のような記事も書いています。CRAの業務範囲は多岐に渡るので、激務ですが、高収入の部類に入ります。
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